大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」を作詞した島田陽子さんの詩に、「うち 知ってんねん」がある。冒頭の一節を紹介したい。こんな内容である
▼「あの子/かなわんねん/かくれてて/おどかしやるし/そうじは/なまけやるし/わるさばっかし/しやんねん/そやけど/よわい子ォには/やさしいねん/うち/知ってんねん」。鋭い観察眼で、一見悪い子の「あの子」の心根の優しさを見抜く。「人の背中は見えるがわが背中は見えぬ」とことわざにある通り、良きにつけ悪しきにつけ案外他人のことは客観視できるものだ。それは人に限らず国も同じではないか
▼英国BBCが数年に一度調査している国別の影響力格付けがことしも発表になった。他国が対象国をどう見ているか数字で表すものである。日本は肯定的見方56%、否定的見方24%で対象国中3位。思いのほか他国から高く評価されているのが分かる。1位はカナダで肯定61%、否定15%、2位がドイツで肯定59%、否定21%。日本は前回2014年に比べ肯定が6ポイント増、否定が4ポイント減と評価は上向き。社会や経済の安定が他国には模範的と映ったようだ
▼一方で最も評価を落としたのは米国である。肯定が5ポイント減の34%、否定が6ポイント増の49%で12位だった。トランプ政権の迷走と社会の分断が心もとなく見えたらしい。「あの子」の心根の優しさを見抜いた「うち」ならトランプ大統領の良さも見つけられたかもしれないが、他国の目はそれほど甘くない。日本もあぐらをかいてばかりではいつ厳しい目にさらされるか。