北海道開発局営繕部は、アイヌ文化振興の拠点「民族共生象徴空間」で新築する国立アイヌ民族博物館の発注準備を進めている。10―12月を入札予定時期とするWTO対象の建築主体は、早ければ来週早々にも公告するとみられる。
博物館は、アイヌ文化振興の拠点「民族共生象徴空間」の中核施設として、白老町若草町のポロト湖畔に整備するもの。文化庁が整備管理者となり、支出委任を受ける北海道開発局が発注業務を担う。
基本設計段階での建物規模はSRC造、3階、延べ約8600m²。2階に展示室や収蔵庫を配置し、1階に映像や音声でアイヌ文化の概要を紹介するシアターやエントランス、カフェ、調査・研究スペースなどを置く。3階は機械室。主要スペースを2階に配置したことから、2階部分が湖に張り出す形となっている。
展示スペースは基本展示室、テーマ展示室、特別展示室が横に並ぶ。テーマ展示室と特別展示室は可動壁で仕切れるようになっており、展示内容に合わせ、両スペースを一体的に使用することも可能にしている。
また、建物の湖畔側には屋外テラスやガラス張り眺望スペースを設け、自然環境との調和を図っている。建物東側の一角にはピロティ形式による、収蔵庫増築スペースを用意している。
現在、建物は久米設計、展示は丹青社で実施設計を進めている。
2018年度予算の概算要求では、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園の整備費などに72億円余りを要求。このうち博物館の整備と運営準備には文化庁として17年度予算の3・2倍となる42億7000万円を求めている。
主体は外構や昇降機設備を含む。主体告示後は追って電気と機械(WTO)も告示する予定で、両工事とも18年1―3月の入札を予定している。
工事は17―19年度で進め、20年4月の開館を予定。年間来場者数100万人を目指す。
民族共生象徴空間の整備については、8月23日に現地視察を訪れた石井啓一国交相が、「アイヌの歴史・文化に関して国民の理解を促進する重要な役割を果たすと感じた」と発言。20年4月の公開に向けて着実に整備する考えを示している。