台風18号が北海道を縦断 各地に爪痕

2017年09月19日 19時15分
台風18号の被害

道路の陥没など各地で被害が相次いだ(19日早朝、伊達市)

大型の台風18号が上陸したことで、道内は大雨による河川の増水などで被害が相次ぎ、地元の建設会社などが復旧作業を進めている。札幌管区気象台によると、17日の降り始めから18日午後9時までの総降水量は登別市カルルスで316㍉、福島町千軒で209㍉などを記録。大樹町の1時間降水量は85㍉で1976年の統計開始以来最大だった。

 道によると、19日午前10時までに5河川が氾濫、道路では土砂崩れなど6カ所の被害が確認されている。河川は、木古内川(木古内町)、天野川(上ノ国町)、太平川(島牧村)、美生川(芽室町)、茂発谷川(幕別町)で氾濫による田畑などへの浸水被害が発生した。道路は渡島、桧山、後志管内で被害が出ていて、丹羽今金線(今金町)、大峯双葉線(長万部町)、石崎松前線(松前町)、江差木古内線(上ノ国町)の4路線では土砂崩れが発生。また、石崎松前線(上ノ国町)では路肩決壊、船澗美国港線(積丹町)では落石により通行規制が行われている。被災規模はいずれも小規模にとどまった。住家被害は、一部損壊が全道各地で75件、床上浸水は黒松内町で2件、床下浸水は上ノ国町など6市町で29件。伊達市では被害状況を確認中だ。この他、非住家は全壊2件、半壊3件の被害が報告されている。

 後志管内の黒松内町では18日、午前中に町内を流れる2級河川朱太川の水位が急激に上昇したため、同町は小樽開建に内水氾濫対策の支援を要請。災害協定を結んでいる北海道川崎建機倶知安支店、蘭越町の増田建設、福島建設に照明車1台、排水ポンプ車2台を貸与して復旧作業などを依頼。朱太川流域の現場数カ所で排水作業などに同日午後9時10分まで従事した。

 また、同日の積丹町では規定雨量を超えたため、道が中村建設(余市)、福津組、古垣建設、菊地組で構成する北後志サポート協同組合に道道船澗美国港線のパトロールを依頼したところ、同線山側の終点から海側に向かって約50mの地点の路肩に横60cm、高さ80cmの岩が落ちているのを発見。調査中で、規制解除のめどは立っていない。

 胆振管内でも被害が相次いだ。伊達市内では、市が管理する紋別川や水車・アヤメ川で、橋梁が流木にせき止められて氾濫。濁流は住宅街から下流域の国道37号沿線の中心部にまで及んだ。紋別川では市道杉並通り線の関内町地区で橋梁脇が陥没するなどの被害が発生した。

 市と防災対策の協定を結んでいる、伊達市建設協会では、市からの要請を受け、各社が流木処理などの対応に当たった。胆振管内の建設会社は「住民は水が増えることに不安を感じていたようだが、土のうなどを積んで『これ以上被害が拡大することはない』と伝えると、ホッとした表情を見せていた」と語る。

 白老町内では、河川氾濫などの恐れがあるとして避難勧告が出されていた竹浦地区を通る国道36号で、竹浦橋(延長109m、幅員7・5m)が橋脚沈下によりひび割れが発生した。

 十勝管内では国道336号広尾町内の2橋が被災。豊似橋は橋台の背面が洗掘され、延長20m、幅4mにかけて路面が抜け落ちている状態で、高堂建設が応急復旧に当たった。紋別大橋では橋台周りの盛り土が延長5m、幅5m程度洗掘。こちらも高堂建設が応急復旧に向かい、19日午後1時半に通行止めを解除した。

 復旧工事が続く国道274号日勝峠は、19日午前11時時点で被害の情報は挙がっていない。

 帯広建管所管では、芽室町上美生地区を流れる美生川で増水であふれた水が農地に流れ込む被害が発生した。昨年の台風10号で右岸237mのコンクリートブロックが欠損した箇所で、1068号美生川災害復旧工事として10月2日に着工する矢先だった。被害内容は調査中だ。


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