国の重要文化財である旧旭川偕行社を活用した中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館が10月8日、リニューアルオープンする。市は2012年12月から3期に分け、修復工事を実施。石積み基礎の補強、劣化部の保存修理や耐震補強などを施し、明治期の洋風クラブ建築を復元した。オープン当日は午前10時から旭川市春光5条7丁目の現地で記念式典が開催される。
旧旭川偕行社は、1902年に陸軍第7師団将校の社交場として建設。W造、2階、延べ1485m²の規模で、49年に国から旭川市へ移管した。89年に国から重要文化財の指定を受け、94年からは旭川市彫刻美術館として利用している。
復元工事は3期に分けて進められ、1期(2012年12月―13年3月)は床や内外壁の一部を解体し、具材の腐食状況や軸組みの現況などを調査。2期(13年10月―14年11月)は躯体と一緒に石積み基礎をジャッキアップし、その後ベースコンクリートを打設して一体化させるなど新しい基礎を造った。
27カ月にも及んだ3期(14年12月―17年3月)は新しい基礎を裏打ちコンクリートで補強したほか、壁の筋交いを追加したり、木材の継ぎ手部分に補強金物を設置するなどの耐震補強を施したほか、屋根の鉄板張り替え、外壁の塗装塗り替え、しっくいの塗り直しなどをした。
設計と工事監理は文化材建造物保存技術協会で、施工は1・2期が多東組、3期が多東組・タカハタ建設共同体が担当した。復元にかかった総事業費は約5億5000万円。
オープニング当日の8日から15日までは「アートウィークinあさひかわ―みんなで行こう!偕行社―」と題し、8日午前11時から青空市・マルシェ祭り、14日午前8時45分は旭川文化芸術巡り、15日午前11時からはミニコンサートの開催を予定している。