2015年2月16日、講師陣に迎えられた訓練生6人
2015年2月16日、帯広職能開発センターで開かれた型枠施工実践科の開講式。訓練生6人を北海道型枠工事業協同組合十勝支部に所属する講師陣が迎えた。
安藤健太さん(28歳)、磴(いしばし)結貴さん(21歳)、落合拓海さん(17歳)、清水幸司さん(28歳)、春木佑充さん(23歳)、渡辺任世さん(25歳)。それぞれハローワークで紹介されたり、資格が取得できるということで受講を決めた。
訓練を企画したのは高齢・障害・求職者雇用支援機構。施設内訓練に比べて低い傾向にある民間委託訓練の就職率を改善するため、14年度に全国10都道府県ごとにコンソーシアムを結成し、地域のニーズにあった訓練開発を進めている。
本道は、雇用のミスマッチが発生している建設分野と医療事務分野に絞りコースを検討。建設分野では、14年10月の道内有効求人倍率で型枠大工・とび工が過去最高となる7・2倍を記録したことなどを考慮し、型枠大工の訓練を計画した。
訓練の委託先に帯広地方職業能力開発協会を選定。カリキュラムには、訓練施設での座学や実習のほか、職場の雰囲気を体感するために1カ月のインターンを盛り込んだ。訓練を通して、玉掛け技能講習とアーク溶接特別講習の資格が取得できるようにしたのも特長だ。
釧路地区でも開講する予定だったが、応募者が少なく中止となった。帯広地区は14年度に、道からの委託で同協会が同様の養成訓練をして3人の就職につなげた。実績がある分、講習内容や就職先のイメージが伝わりやすくなる。帯広地方高等職業訓練校の星哲博校長は「昨年は想定した募集人数より少ない中で開いたが、ことしの訓練につながった」と胸をなで下ろした。
これから4カ月、400時間の訓練が始まる
開講式のあいさつで星校長は「これから4カ月、400時間の訓練が始まる。専門工事業界は人手不足で非常に厳しい。特に型枠は、世代交代が進まず高齢化が目立ち、若い人たちを心待ちにしている」と期待した。ただ「これからのことを考えると有望な業種だが、4カ月で一人前になるほど甘いものではない」と、くぎを刺すのを忘れなかった。
最年少の落合さんは高校を1年で中退。コンビニエンスストアや飲食店で1カ月ほど働いたり、農業をやってみたり。いわゆるニートとして過ごしていた農閑期に知人からこの講座を紹介されたという。「本当はいやだった。でも、働かないで勉強しているだけでお金がもらえるし、資格も取れるので」と受講を決めた。
自動車の部品販売をしていた春木さんは、退社後にハローワークで勧められた。「いろいろな仕事を体験してみたかった。外で働く仕事にも興味があった」と話す。
この仕事は身に付いたら一生役立つ
開講式で道型枠工事業協組十勝支部の国枝恭二支部長は彼らに「この仕事は身に付いたら一生役立つ。収入もある。一生の仕事にする価値はある。自信とプライドを持って学んでもらいたい」と呼び掛けた。
型枠、鉄筋、とびといった躯体技能者の労働環境を改善し、若者の入職を促すため、道型枠工事業協組十勝支部は13年4月に帯広鳶土工事業組合、北海道鉄筋協同組合十勝支部とともに、躯体専門工事業業界再興プロジェクト連絡協議会を結成。通年雇用の実現や適期発注の要望活動などを続けている。
訓練を通じて、どれほどの若者が躯体業に興味を持つか注目している。ことし12月には、帯広地方職業能力開発協会が道から受託した、鉄筋工を養成する同様の講座が予定されている。
開講式後のオリエンテーションで、教科書として型枠施工必携(厚生労働省技能検定課監修)が配られた。訓練に臨む心構えや事務手続きなどの説明を受けると早速、初日の訓練が始まった。