ミャンマーのアウンサンスーチー氏は子どもや配偶者が外国籍の場合は国家元首になれないとの憲法上の制約から、大統領になることができなかった
▼苦肉の策として編み出したのが国家顧問を新設してそこに納まること。最高権力者であるはずの大統領を飾りとし、実質的な国の運営は何の法的裏付けもない国家顧問が行う形である。軍部との対立を避けるために仕方がなかったとはいえ二重権力の懸念は拭えない。二重権力は真の権力者が国民の目から見えないため政策決定過程が不透明になりやすい。国際的信望の厚いスーチー氏でさえ、少数民族ロヒンギャ迫害問題では情報が出てこないゆえに関与が疑われているくらいである
▼理想に燃える女性として共通するものがあるからか、最近、希望の党の小池百合子代表がスーチー氏と二重写しになって仕方ない。国政政党の代表でありながら国会議員にはならないというのだから、裏から国政を操ろうとしているのでは、との懸念が生まれても不思議はない。政界再編劇の大詰め、第48回衆院選がきのう公示された。展開の読めぬ政局は安手のドラマよりよほど見応えがある。立役者はやはり他党を解体、分裂に導きながら拡大し、与党勢力に次ぐ第2極を形成した希望の党だろう
▼代表たる小池氏の策が見事はまっている。ところが、だ。その肝心要の人が衆院選に出ないとなるとまた話は違ってくる。政権選択選挙で首相指名候補にできないのである。小池氏の狙いはどこにあるのか。選挙後は都政に専念というがどうも額面通りには受け取れない。