帯広開建と寒地土木研究所は17日、帯広市内のとかち館で豪雨・洪水災害に対する社会資本の防災を考えるフォーラムを開催した。建設業者や官公庁などから189人が参加。昨年の豪雨・洪水災害の被害状況を踏まえて、これまでに整備された社会資本の防災対策の検証や将来に向けた方策などについて議論した。
基調講演は、帯広畜産大の環境農学研究部門農業環境工学分野の辻修教授が務め、農業用排水路の被害の検証から見えてきた減災の方策を提案した。農業用排水路の設計で用いられる土壌雨量係数は全国統一の係数が使われ、個々の傾斜地の植生や地質、風化、積雪地の融雪などが考慮されていない点を指摘し、地域の特性を考慮した係数の算出を課題に挙げた。また被害に遭った排水路は河畔林があった箇所で浸食が免れるケースが見られたことから、全路線に水害防護林の設置を要請し、かなわない場合は橋梁の前後だけでも植栽するよう強く求めた。
帯広開建の井田泰蔵次長は管内の土木関係施設の被害状況と復旧の進捗(しんちょく)を報告。日勝峠清水側8合目は土石流で地下横断管が詰まり、沢からの流下水と日高側からの表流水が道路を越流し浸食したため盛り土が崩壊した。本復旧では土石流の堆積スペースを確保し、スペースが土石流で埋まった際に排水するバイパス管を設置し、排水機能を高めることを伝えた。
日本技術士会北海道本部道東技術士委員会の紅葉克也代表は、防災エキスパートとして被災後の河川調査に当たった経験を基に自身の考察を述べた。札内川について札内清柳大橋上流部の左岸は、河川整備計画に基づく堤防の保護対策が施されており堤防の浸食を抑えていたことを解説。戸蔦別川合流点付近の左岸は戸蔦別川の堤防が決壊し流入してきた氾濫水が札内川の堤防の裏面にぶつかり破堤に至ったため、裏面の強化の是非や樋門の規模拡大など施設整備の在り方を検討する必要性を指摘した。