ことし選挙権を得たわが家の高3の娘に投票に行くのかどうか尋ねてみると、間髪入れず「行く」との答えが返ってきた。「どうしよう、行かなきゃダメかな」といった反応を予想していただけに、迷いのない即答に少し驚いた
▼学校でも友達との間で選挙が話題に上ることはあるらしい。感触としては「みんな行くと思うよ」。頼もしい限りである。先生は毎朝、読むことだけ薦めて教室に新聞を置いていくそうだ。その第48回衆院選の投開票が次の日曜日に迫った。誰に投票するかそろそろお決めになったころだろう。本道は保守対革新の一騎打ちあり、3極そろい踏みありと、どの選挙区もなかなかの激戦である。それだけに各党の幹部が来道して街頭に立つ機会も多かったようだ。筆者も何人かの応援演説を見た
▼それにしても今回ほど与野党共に揺れ動いた選挙も少ないのでないか。支持率を落とした与党は起死回生を図り、魅力をなくした野党第一党は分裂し、受け皿としてできた新党は浮き沈み、と。おかげで政局としては面白くなったものの、争点はぼけてしまった。自分の一票を行使する形で初めて政治参加する高校生らにとって、分かりにくい衆院選になってしまったことは否めない
▼社会人の一歩手前にいる彼らにとって、教育負担の軽減策や就職で苦労しないための経済政策は本来なら大きな判断材料になったはずである。確かにどの党も主張を述べてはいた。ただ、それが伝わる選挙戦だったのかどうか。若者たちは案外よく見ている。政治家には若者たちが見えていただろうか。