政治家の表札

2017年10月24日 07時00分

 アパートであっても一軒家であっても、自分の家に表札を出さない人はまずいないだろう。しゃれた表札もたくさんあり、素材や書体に自分なりの工夫をこらす人も随分といるようだ。ただ、外に対し名前を明示する点では皆同じ

 ▼石垣りんに「表札」の詩があった。こう始まる。「自分の住むところには自分で表札を出すにかぎる。自分の寝泊りする場所に 他人がかけてくれる表札は いつもろくなことはない」。一夜明け、そのことをまさに実感した人が多かったのでないか。今衆院選を戦った候補者たちである。主義主張をかなぐり捨てて小池百合子代表の家に入り、「希望の党」の表札を掛けてもらった人は、とりわけ骨身に染みていよう

 ▼とはいえ小池代表の「排除」発言だけが敗因だったわけではあるまい。他人の表札を利用していると有権者に見抜かれ、信頼を失ったのである。ふたを開けてみれば自民党が単独で過半数を制する圧倒的勝利。解散当初は誰もこの結末を予想していなかったはずだ。自民党は支持率が低迷しても表札を変えることはなかった。立憲民主党も理念を譲らず筋を通す形で自ら新たな表札を出した。それが選挙で審判を受ける政治家のあるべき姿だろう。表札を見て希望さんの家を訪ねたのに中にいたのは別の人、では有権者をばかにしている

 ▼石垣さんは詩をこう締めくくっていた。「精神の在り場所も ハタから表札をかけられてはならない 石垣りん それでよい」。政治信念の在り場所にさえ自分で表札を掛けられない政治家に、国政を任せることはできない。


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