あまりにも出来過ぎているので作り話としか考えられない事が世の中にはまれにある。例えば米国の俳優アンソニー・ホプキンス氏のこんな経験
▼氏は出演する映画の参考にしようと原作本を買いに行った。ところがロンドン中を探し回ったのに一冊も見当たらない。疲れ果て帰ろうと地下鉄に乗ると、隣の座席にまさにその本が置き忘れられていたという。『「偶然」の統計学』(ハヤカワ文庫)で知った話である。北海道日本ハムファイターズの木田優夫GM補佐が26日のドラフト会議で、早実・清宮幸太郎内野手の交渉権を獲得した。高校生史上最多タイの7球団が競合した指名争いで抜群のくじ運を発揮したのである
▼このところドラフトで連敗が続く栗山英樹監督の代役として正式に「登板」が決まったのが前日。スポーツ紙によると、抽選箱に入れる手は友人の明石家さんまさんに助言を受け、利き腕とは逆の左手にしたという。つまり偶然と戦略と運が全てつながった出来過ぎの結果だったのである。一方の清宮選手も日ハムと縁があったようだ。早実中1年だった2012年の日ハム対楽天戦で、始球式を務めていたのである。もちろん偶然だが、清宮選手にしてみれば、ふと気付くと探していたユニフォームが今なぜか横に置いてある、というところだろう
▼ペナントレースの不振やボールパーク構想の停滞、大谷投手の大リーグ行きと明るい話題が少なかった今季の日ハムだが、最後に朗報が待っていた。楽しみなのは清宮選手の一軍での活躍である。こちらは偶然に頼るまでもない。