2016年8月に台風で被災し、室蘭・帯広両開建が14カ月にわたり復旧工事を進めてきた国道274号日勝峠が、28日午後1時に開通した。直前の日高町側ゲートには120台の車が列を作る姿も。日高町主催の式典では、三輪茂町長がR274日勝峠災害復旧関連工事推進協議会の松隈嘉和会長に感謝状を手渡し、拍手が会場を包んだ。
日勝峠は道央と道東を結ぶ大動脈だが、台風により法面崩壊や落橋など66カ所が被災し、両開建は昨年8月30日から43・8㌔を通行止めとした。今秋の開通を目標に、施工業者が昼夜を問わず懸命の作業を継続。ことし3月には、日高町千栄地区の規制解除などにより、通行止め区間は36・1㌔に短縮されていた。
室蘭開建は28日、開通に先立ってレクチャーを実施し、洗掘で道路が欠損し、擁壁や根固めブロックを設けた千栄地区の現場と、大規模崩落があり護岸や法面などを整備した6合目の現場を案内。峠の頂上に近い三国の沢覆道では、大きな損傷を受けたため覆道自体を撤去し、土砂防止柵を設けたことなどを説明した。
同開建が日高町側のゲートを開くと同時に、今か今かと開通を待っていた一般車両が帯広方面に向けて続々と出発。道路脇に並んで頭を下げる開建幹部や施工業者などに、利用者が「ありがとう」「待ってたよ」などと声を掛けていた。
道の駅樹海ロード日高で開かれた記念式典には、室蘭開建職員や受注業者など約100人が参加。三輪町長が「工事完了まで3年はかかると想定していたが、わずか14カ月という驚異的な早さで開通を果たすことができ、大変うれしく思っている。心から感謝したい」と関係者を激励した。
来賓では衆議院議員ら3人があいさつ。堀井学氏は「交通が戻り街に活気が出ることを期待したい。引き続き完全復旧に向け頑張ろう」と呼び掛けた。佐藤英道氏は「関係者の尽力の成果。夏はクマ、冬は雪との戦いで苦労もあったのでは」とねぎらい、山岡達丸氏は「強い思いで、問題に取り組んだ結果。心からおめでとうと言いたい」と祝福した。
復旧の様子を紹介した平野令緒部長は「14カ月、424日、昼夜総力を挙げ復旧に当たった建設業者やコンサルの皆さんの苦労、NEXCO東日本や地域の皆さんの協力のおかげ」と振り返り、「北海道の土木史に残る工事で、技術者のプライドも感じた。あらためてお礼を述べたい」と言葉を掛けた。最後に三輪町長が松隈会長に感謝状を贈り、労をねぎらった。
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