円柱型のホールケーキを幾人かで公平に切り分けるのはなかなか難しい。等分にしたつもりでもよく見ると、どれかが大きかったり小さかったり
▼こんな笑い話を聞いたことがある。切り分けの大小でいつもけんかになる兄弟がいた。ある日お母さんは宣言する。「これからはお兄ちゃんが好きなように切りなさい」。大喜びでたっぷり差をつけて切ると、お母さんが下の子に言う。「選ぶのはあなたが先になさい」。国会での質問時間というホールケーキの切り分け方を巡って今、与野党がもめているそうだ。現行の時間配分はざっと与党2割に対し野党8割だが、これでは議席数と整合性がない、と与党が見直しを求めているのである
▼ケーキ代の7割を支払ったのは与党なのだから、その分は食べる権利があるとの主張だろう。一方の野党は断固として反対。支払いのことはひとまず置き、せっかくの会を有意義にするためには、皆が同じ大きさに切り分けられたピースを食べるべきと徹底抗戦の構えである。衆院選での大勝を見ると、与党の言い分にも理はあろう。民意を反映するには見直しも必要でないか。ただ得票率が5割程度にとどまったことや、政策審議のためには多様な切り口が必要な点を考えれば野党への配慮も欠かせない
▼もっとも、野党が再び森友だ加計だと政権攻撃にのみ時間を費やし、少子高齢化や社会保障、デフレ脱却、北朝鮮といった国政の最重要課題を後回しにするならそれも無駄になる。分けられたケーキの大きさだけでなく、食べ方も国民は見ていることをお忘れなく。