羽幌町と天売島おらが島活性化会議、留萌振興局の3者は1日、羽幌町役場で天売島未来につなぐ木育の島づくり協定を締結した。一度、乱伐により消滅した森林を復活させた歴史を後世に伝えるとともに、復活した森林と間伐材を有効活用し島の活性化につなげる考えだ。
天売島では江戸時代から明治時代にかけて伐採と山火事により森林がほぼ消滅。離島観光ブームに沸いた1973年には断水が繰り返され、自衛隊の大型ヘリコプターや船舶で給水が行われるなど水不足は深刻な問題になっていた。
その後、公共事業による森づくりで徐々に健全な森によみがえり水不足は解消。現在、島内の森林面積は200haになっている。かつて人工的に造林した森が間伐期を迎えているので、このうち町有林190haを対象に歴史の継承と森林、間伐材の有効活用を図るため3者が提携する。
羽幌町は、おらが島活性化会議が取り組むエコ観光と再生可能エネルギーの地産地消を支援し、振興局は森林活用に向けた公共事業や技術習得などを支援する。
振興局は、これまでも天売応援プロジェクトとして枝打ち体験や林業の担い手を育てるチェンソー実務講習会、キノコのほだ木づくりなどを行っており、さらに支援を充実させる考えだ。
おらが島活性化会議の斉藤暢代表理事は「豊かな森林から栄養が海に流れ、良質なウニが採れ、海鳥が繁殖してくれている。先人が苦労して植えた木を有効活用するとともに、島を訪れた人、住む人が豊かになれる森づくりに励みたい」と意欲を語った。