札幌市円山動物園は14日、10月20日に完成した「ホッキョクグマ館」の報道機関向け内覧会を開催した。国際的な基準を満たした施設で、プールの底にある延長18mの水中トンネルでは、ホッキョクグマが泳ぐ姿を見上げることができる。12月からホッキョクグマを新施設に慣れさせ、2018年春にオープンする予定だ。

捕食関係にあるホッキョクグマとアザラシが同時に見られる水中トンネル
ホッキョクグマとアザラシを併設して展示する新施設はRC造、2階、延べ約4100m²の規模で、岩田地崎建設・中井聖建設共同体が施工。建設費約23億円を投じた。同動物園の最南端に位置し、隣接する既存の世界の熊館とは連絡通路で接続。麻酔を使わずに個体を入れ替えられるようにした。
ホッキョクグマのデリケートな繁殖に配慮し、産室や寝室などを備える寝室棟と、水中トンネルやホッキョクグマの屋外放飼場などを備える観覧棟で構成する。
メインの屋外放飼場は、来園者の視線より高い場所に居場所を確保し、ホッキョクグマが落ち着いて過ごせる空間を確保。プールのほか、陸地には芝や木を植え、丸太、洞穴、小川などを配置し、なだらかな傾斜で起伏に富んだ地形を再現した。
施設の目玉である水中トンネルは、アクリル板で仕切られたホッキョクグマとアザラシのプールを貫き、捕食関係にある両者を同時に見ることができる。
プールはそれぞれ水平面積200m²強、深さ3・7m、水量500㌧程度。ホッキョクグマが泳ぐのに十分な広さを確保した。このほか、解説物なども多く展示し、環境教育にも力を入れる予定だ。
今後は職員の潜水訓練など飼育準備を進め、ホッキョクグマの馴致(じゅんち)を経て、18年春のオープンを目指す。