いざ引っ越しをするとなると、住所変更だ何だといろいろ手続きしなければならないことが出てきて面倒である。来年のことを考え、今からため息をついている人もおられるのではないか
▼そこで一つの安心材料として、手間を省けることも中にはあることをこの川柳でお伝えしたい。「引越して最初に来たのNHK」老梅小町(『平成川柳傑作選』毎日新聞出版)。どこから知るのか、あの目ざとさには驚くばかり。受信料の支払い拒否に悩んできたNHKにとっては朗報だろう。今頃胸をなで下ろしているに違いない。テレビなどの放送受信機を持つ人に契約を義務付けるNHK受信料制度が「合憲」のお墨付きを得たのだ。おととい、最高裁大法廷が初めて判断を示した
▼国民の知る権利を保障するためには、公平な負担でNHKの放送を支えるのが合理的との理由である。契約拒否者にNHKが裁判を起こし、勝訴が確定した時点で契約が成立、支払い義務は受信機設置時から生じることも併せて指摘した。つまり最高裁はNHKの主張を追認した形。ただ、これで受信料トラブルが減るかといえばどうか。本質はまた別にあろう。うなずく人も多いと思うが幾つか上げると、契約徴収担当者の態度の悪さ、中立性を逸脱した放送内容、もうけ過ぎへの批判―である
▼筆者もかなりひどい担当者に当たったことがあるし、偏った報道に眉をひそめたこともある。もちろん全部が全部というつもりはない。むしろ優れた番組に感心することしばしばである。だからこそ、ここでおごらずにと言っておきたい。