漢字四文字の組み合わせで難しい概念を簡潔に表現できる四字熟語は何かと便利なものである。リズムも良いから記憶にも残りやすい。例えば、「最初にこうしようと心に決めたことがあるなら、何があっても諦めず貫き通しなさい」と長々話されるより、「初志貫徹」と一言ずばり伝えられた方が真っすぐ胸に響く
▼さて、ことしはどんな作品が胸を響かせてくれるだろう。住友生命の「創作四字熟語」が決まった。優秀作品を見ていこう。まず「九九八新」(緊急発進)と「棋聡天才」(奇想天外)。陸上短距離の桐生祥秀選手と将棋の最年少プロ藤井聡太四段を表現したものである。若者たちの前人未到の挑戦にこちらまで元気付けられた
▼「蟻来迷惑」(有難迷惑)は猛毒を持つ外来種のヒアリが相次いで見つかったこと。危機意識が一気に高まった。「政変霹靂」(青天霹靂)と「世代皇代」(世代交代)。野党を中心に政界の再編が進み、退位特例法も決まるなど有為転変を感じさせられる一年だった。では本道の世相はどんな四字熟語で表せるか。昨年に引き続き考えてみた。「一見漂着」(一件落着)。ただの遭難漁民と思っていたら実は島で窃盗行為。「鉄網無無」(天網恢恢)。「無無」は「ないない」と読んでほしいのだが、自治体協議で鉄路維持の困難さが一層あらわになった年だった
▼明るいニュースも忘れるわけにはいかない。「日勝懸命」(一生懸命)。開発局や地元建設業者など関係者が総力を挙げて、台風で寸断された日勝峠を1年余りで見事に復活させた。拍手喝采である。