千島海溝超巨大地震

2017年12月23日 07時00分

 歌人与謝野晶子は1923年9月の関東大震災を、当時教壇に立っていた神田の文化学院で経験した。地獄のような光景を目にしたはずだが『大震後第一春の歌』にはこんな記述がある

 ▼「おお大地震と猛火、その急激な襲来にも我我は堪えた。一難また一難、何んでも来よ、それを踏み越えて行く用意がしかと何時でもある」。神にも仏にも頼ることを嫌い、人間性のみを信用して生きた晶子らしい一文ではないか。どんな困難をも乗り越える力が人間にあるのは事実だろう。これまでも数々の悲惨な自然災害から立ち直ってきたのがその証拠である。とはいえ自然災害が襲いかかってくるのを座して待つのでなく、被害を最小限に抑えるようしっかり備えておくのも大切だ

 ▼そのことを思わされたのは、十勝沖から択捉沖にかけての千島海溝沿いで超巨大地震の発生が切迫している―との報があったためである。政府の地震調査研究推進本部が先頃発表した。確率は30年以内に最大40%というから穏やかでない。マグニチュード(M)8・8程度以上の超巨大地震がこの地域で発生する周期は約340―380年。前回から既に400年が経過しているため、いつ起こってもおかしくないそうだ

 ▼筆者も釧路で釧路沖と東方沖を経験したが、あのすさまじい地震でもM7・5と8・2である。マグニチュードは数値が0・2上がるとエネルギーが2倍になる。さらに巨大津波も加わるとしたら…。晶子は震災の1年後にこう書いた。「明日に、明後日に来る。私達は油断なく其れに身構える」。肝に銘じたい。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • 日本仮設
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,387)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,256)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,236)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,108)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (886)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。