お年玉

2018年01月05日 07時00分

 お年玉をもらっていたのはもう随分昔のことになるのだが、その日のうれしさは今でも忘れない。「一葉の手の切れさうなお年玉」すずき波浪。当時、樋口一葉はいなかったものの、普段見られない偉人の顔をそのときだけは拝めたものだ

 ▼子どもには持ち慣れない大金を手にして何を買おうか楽しく悩んでいるうち、毎年いつの間にかなくなっていた。それを少しでも未来への投資に使っておけば、は後知恵である。お年玉といえば、雑誌『rockin’on』創刊メンバーで音楽評論家の松村雄策氏が書いた自伝的小説『苺畑の午前五時』(小学館)を思い出す。小3でポピュラー音楽に目覚めた主人公の亮二が、小6の正月にお年玉で「ポータブル電蓄を手に入れ」るのである

 ▼それから1カ月もたたずに、ビートルズが日本でレコードデビュー。全く新しい音楽と出会った亮二は、以来、ビートルズに傾倒していく。松村氏自身の経験だろう。お年玉が将来進むべき道を踏み固める役割を果たしたわけだ。お年玉を国の予算に見立てるのは適切でないかもしれないが、年の初めに大金の使い道を考える点では少し似ていよう。第196回通常国会が22日に召集され、2018年度予算案の審議が始まる

 ▼今の日本に、いつの間にか消化できていれば良しとする財政的余裕は全くない。国会には少子高齢化や地方経済の疲弊、軍事衝突危機など多くの問題を力強く解決に導く筋肉質の予算を期待したい。松村氏のポータブル電蓄のように、未来につながる道もできるだけたくさん用意できるといいのだが。


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