南北会談の行方

2018年01月11日 07時00分

 味方に裏切られることを「後ろから矢を射られる」という。日本の古典文学『太平記』の一節、「後矢射テ名ヲ後代ニ失ハントハエコソ申シマジケレ」から来ているそうだ

 ▼将軍足利尊氏に冷遇されている男が合戦前日に息子を呼び、どさくさに紛れて将軍を殺してしまおうと相談したときに息子が返した言葉である。弓矢の道に二心なし。自軍の将に弓を引くなど、名に回復不能の傷を付ける恥だと怒ったのだった。さてこちらも味方に弓を引く結果にならなければいいのだが。韓国と北朝鮮がおととい、南北軍事境界線上の板門店で閣僚級会談を開いた件である。北朝鮮に核兵器を放棄させるための圧力重視で足並みをそろえる国連と、韓国はどう折り合いをつけていくのだろう

 ▼北朝鮮から譲歩を引き出すため国際社会が包囲網を狭めている今、笑顔で逃げ道を用意するのは得策でない。韓国も周到に準備した上で会談に臨んだのかと思いきや、大山鳴動して出たのは北の平昌五輪参加というネズミ一匹のみ。北朝鮮はしたたかである。外交経験の少ない文在寅大統領を懐柔し、五輪を人質に核開発の時間稼ぎをするなどお手のものだろう。文氏にその意図はなくとも、気が付いたら後ろから国連に矢を射ていた、となりかねない

 ▼韓国は最近、2015年に「最終的かつ不可逆的な解決」として終わらせた日韓慰安婦合意も一方的に覆した。当時の日米韓の努力も関係改善の機運も台無しにする決定で、やはり後ろから矢である。これでは後代まで韓国は名を失う。文氏はもっと慎重を期すべきでないか。


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