河野外務大臣

2018年02月03日 07時00分

 旧佐賀藩士で1871(明治4)年に政府の外務卿となった副島種臣は、外交交渉に優れた人物であったらしい。占部賢志中村学園大教授が以前、雑誌『文藝春秋』に寄稿した一文を読んだことがある

 ▼こんなことがあったそうだ。副島が清国を訪問した際、各国の公使が国際儀礼無視の古式な礼を強いる清国に困っているのを知った。そこで副島が談判に乗り出し、清国に国際常識と信義の大切さを説いたのである。かたくなな清国に対し副島は一歩も引かない。交渉は1カ月余り続いたという。ついに皇帝との謁見(えっけん)を拒否して帰国する決意を示した副島に清国が折れ、やっと解決したのだとか。その胆力に「欧米だけではない。当の清国までが敬意を表した」と中村教授は記す

 ▼明治時代中後期に欧米列強との不平等条約改正を実現させた陸奥宗光や小村寿太郎もそうだが、日本の外交史には時折り傑物ともいえる外務大臣が現れる。さてこの人はどうだろう。今の河野太郎外務大臣のことである。昨年8月の就任から半年、世界を縦横に駆け回り、「意外にも」と言っては失礼だが抜群の存在感を放っている。ことしに入ってからだけでもパキスタン、ミャンマー、中東、カナダ、中国と大臣室の席が温まる暇もない

 ▼つい先日の中国では関係改善に努める傍ら、硬い表情で知られる女性報道官華春瑩氏と二人で笑顔の写真を撮りツイッターに投稿。皆をあっと言わせた。行動力に加えてSNSでの発信力も河野氏の強みだろう。副島ほどの実績はまだないが不思議と期待したくなる人である。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • web企画
  • 日本仮設
  • オノデラ

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,418)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,298)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,256)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,115)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (901)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。