▼釧路駅にほど近い釧路市の幸町公園に、ひっそりとたたずむ白い記念碑がある。「北海道鉄道記念塔」。1916(大正5)年に道内の鉄道線路の延長が1000マイル(1600km)に達したことから、東北海道の鉄道基点になる同市に設置されたものだという。それからちょうど100年の節目となることし、北海道の鉄道はまた新たな歴史を刻み始める。3月26日に、北海道新幹線が開業するのだ。
▼道民が待ち望んでいた新幹線がついにこの北の大地で走りだす。新幹線規格で建設された青函トンネルも、完成から30年近く待たされたがやっと本来の性能を発揮できる。新幹線が変えるのは鉄道だけではない。本道の可能性をも広げる。新年度から始まる「新しい北海道総合計画」で重点となる、少子高齢化への対応、食・観光関連産業の振興、環境先進地づくり、強靱(きょうじん)な北海道づくり、多様な人材の育成確保、その全てにとって重要な役割を果たすのは間違いない。
▼地域の魅力度を順位付けしているブランド総合研究所の「地域ブランド調査2015」によると、都道府県の1位は北海道、市区町村の1位は函館市だったそうだ。新函館北斗開業に向け最高の環境ではないか。1880年に開業した本道初の官営幌内鉄道は、石炭と人を運び産業経済の発展に大きく貢献した。北海道新幹線に期待されるものも同じだろう。皆で知恵を出し合えば、未来へとレールはつながっていく。もうすぐ、新幹線が春を運んでくる。新しい時代の幕開けも近い。