▼外を歩いていると、冷たい空気が容赦なく肌を刺す。そんな時候である。道内では真冬日を観測することも増えてきたようだ。きょう6日は寒の入。旧暦二十四節気の小寒である。寒さはこれからが本番だ。「うしろから寒が入る也壁の穴」(小林一茶)。今どき家の壁に穴があることなどほとんどないが、扉や窓は開けないわけにいかぬ。隙間から忍び込む冷気に身を震わされるのは今も昔も変わらない。
▼寒の行事といえば寒中水泳や寒稽古がすぐ思い浮かぶ。滝に打たれる寒垢離(ごり)もこの時期の風物詩だろう。厳寒の季節に心身を鍛錬しようとするものだが、見ているだけで凍えそうである。なまくらなわが身に冷水を浴びせるのは温泉の後くらいなものだ。さて、こちらも鍛錬が目的ではなかろうが、第190回通常国会が寒の入りとほぼ時を同じくして始まった。昨秋臨時国会を見送ったため異例の早期開会となったものだ。冒頭1カ月はさしずめ寒中国会とでもいえようか。
▼4日には安倍首相の外交報告と麻生財務相の財政演説があった。予算案を審議し、延長がなくても6月1日までの長丁場。会期末直前には伊勢志摩サミット、直後にも参院選が控える。しかも消費税10%引き上げ時の軽減税率やTPP対策といった懸案もめじろ押しだ。きょうから代表質問に入り、論戦の火ぶたが切られる。予算案を人質にとる野党戦術は御免だが、木で鼻をくくったような政府答弁も国民の理解を妨げる。寒中だからこそ、鉄を鍛えるごとく熱い議論を期待したい。