▼きょう21日は旧暦二十四節気の大寒である。道理で寒い日が続くはずだ。重ね着する衣服を一枚増やし、という人も多かろう。「着ぶくれて首なき老人ひとかたまり」(松尾佳良子)。高齢者ばかりではない。老いも若きもコートの襟を立て、フードやマフラーで首を隠している。寒さで首が縮まり体もこわばっているから、後ろから眺めるとロボットが歩いているようだ。これも冬の風物詩の一つだろう。
▼寒風に耐えながらうつむき加減で歩いていると、われ知らずこのわらべ歌を頭の中で繰り返していたりする。「おおさむこさむ/山から小僧が泣いてきた/なんといって泣いてきた/なんといって泣いてきた/寒いといって泣いてきた」。気をそらすのなら暖かい季節の歌の方が良さそうなものだが、なぜか思い浮かばない。実際、寒中のこの時期は泣きたくなるほど寒いことが何度もある。心情が歌になったというべきか。暦の上で大寒の次は立春のはずだが春の姿は全く見えない。
▼ここ数日、日本中を悩ませた寒波が今冬一番だったと聞き、やはり春まだ遠しと実感した。この荒天に泣かされた人も多かったろう。これまで雪を降らせなかった天の帳尻合わせでもあるまいが、太平洋側を中心に大量の雪が降った。18日には東京でも積雪が6cmに達し、交通が大幅に乱れたとのこと。道内でも19日から大雪が道東を見舞った。週末にはさらに強い寒波が来るらしい。急な用事でもなければ着ぶくれてまで出掛ける必要はない。家で熱かんでも楽しんでいるとしよう。