▼政治のことを「まつりごと」というが、その本来の意味は「奉仕をする」ことであるらしい。「奉る」の言葉を思い浮かべると分かりやすいだろう。古代日本なら神への奉仕、民主主義の今は国民への奉仕ということになろうか。祭と政が等しく「まつり」と呼ばれるゆえんである。奉仕の精神を失うと政治は腐敗していく。権力は私利私欲を満たすための手段と化す。事情は世界中どこでも同じのようだ。
▼NGOのトランスペアレンシー・インターナショナル(本部・ベルリン)が27日、2015年の国別堕落指標を発表した。汚職や収賄など政治家、官僚らの腐敗度を順位付けしたものだ。日本は167カ国中18位。上位だが昨年より3つ順位を下げた。他に気になるところは米国16位、韓国37位、中国83位、北朝鮮167位といったところか。ちなみに1位はデンマーク。堕落した国は報道の自由がない、政府予算が隠される、権力者が横暴、司法機関の独立性がない、が特長だそう。
▼これも来年の順位に関係するだろうか。TPP交渉を担ってきた甘利明氏が28日、違法献金疑惑をめぐる現金授受問題の責任を取り、経済再生担当相を辞任したのである。記者会見し、現金を受け取ったことは認めたものの、違法性は否定した。ただ関係した秘書が大金を「費消」した事実はあったとした。これでは責任を免れまい。いずれにせよ今回の事件は謎が多い。国会で騒ぐより司法当局に全て任せるべきではないか。それにしても金に奉仕する政治関係者の尽きないことよ。