サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ―(『ドント節』)。植木等さんはかつてそう歌ったが、今のデフレと格差の時代にはなかなかそうもいかないようだ
▼おととい発表された第一生命保険「第31回サラリーマン川柳」優秀100句が、悲哀を笑いに変えながらその実情を教えてくれる。「業績はいいと聞くのに感じない」みや、「静かだね部長がいないとプレミアム」小さな幸せ。思わず深くうなずいてしまう。ことしは全国から4万7559句の作品が届いたそうだ。ベスト10を決める投票も始まっている。気になった作品を見ていこう。「言ったけどだれに言ったかわからない」よみ人知らず。指示したはずだが君にではなかったか…。「電子化について行けずに紙対応」トリッキー。会社も高齢化が進む
▼「相談は上司先輩よりネット」プロキシマV。今どきは人間関係より電子関係重視。「辞めますもSNSで済ます部下」旧新人類。「LINE」経由で辞表が送られてくるのも珍しくはないらしい。今回も家庭ネタは豊富である。「俺ん家も長期政権嫁一強」やす。夫としては妻への「忖度」も欠かせないところ。「禁煙しそれでも家で煙たがれ」片根武。安らげる場は帰り道にある一杯飲み屋だけだということか。「ままごともパパが買い物行かされる」光源氏。妻にも娘にも便利屋代わりに使われる
▼いやいや、それでも頑張りを分かってくれる理解者は必ずいるはず。「父さんの苦労知ってる靴の底」可可子。苦労を分かち合えるのが靴だけとは。優秀100句全作品は同社HPでどうぞ。