▼だいぶ以前のことになるが、バンジージャンプを体験したことがある。比較的低い所からのものだったが、気分爽快だったのは飛び降りた最初だけ。大きく上下に揺られているうちに、だんだん気持ちが悪くなってきた。情けない話である。新年早々からバンジージャンプ並みに乱高下していた日経平均株価が10日、とうとう終値で1万6000円を割り込んだ。こちらも気持ち悪くなった人は多いだろう。
▼米国、欧州、上海の株式市場も軒並み値を下げる世界同時株安になっているから、下落は日本の国内事情だけが原因でなさそうだ。グローバル経済の世の中である。中国がせきをすれば産油国はじめ多くの国が風邪をひくということか。株価対策というよりインフレ目標達成のためのワクチンだったのだが、日本銀行のマイナス金利策も混乱に拍車を掛けた。「異次元」の金融緩和というくらいだから、一般投資家が理解できないのも当然だが、日銀にとっては思わぬ誤算だったろう。
▼9日には日本で初めて、長期金利の指標となる新規発行10年物国債の利回りが一時、マイナスに転じた。民間金融機関が国債を買い進めたためらしい。金利がほぼないのに大量買いとはこれいかに、と疑問に思っていたら、その心は日銀が高値で買い取ってくれるから、なのだとか。何のことはない資金を銀行間でぐるぐる回しているだけのこと。道理で庶民に届かないはずだ。バンジーも株価も揺れているうちはいいが、転落してしまったら大惨事である。さて、政府の次の一手は。