▼1966年は「マイカー元年」と呼ばれているそうだ。トヨタ自動車がカローラ、日産自動車がサニーの発売を始め、一般家庭の自動車保有台数が急激に伸びるきっかけになった年だという。思い出せば子どものころ、わが家に最初に来た自動車もカローラだった。時代はまさに高度経済成長のさなか。団塊の世代がちょうど購買層に加わってきたことも、売り上げを大きく押し上げる要因になったらしい。
▼そのマイカー元年からことしで50年。当時約2500万世帯に対し229万台(自動車検査登録情報協会統計)だった保有台数は、2015年現在、5043万世帯で6051万台(同)に上るという。近年、販売不振や若者の「車離れ」も耳にするが、台数を見ればいまだ自動車大国である。ただ、今は大きな曲がり角に来ているのも事実のようだ。電気や水素で走る自動車の研究が進み、ICTやIOTを使った自動運転・制動技術の開発でもメーカー各社がしのぎを削っている。
▼最新技術で悲惨な交通事故が減るならうれしいことだ。過去の出来事にもしもはないが、衝突回避や飲酒検知の装置が全ての車両に装備されていたら、砂川や小樽の飲酒死亡事故は防げたかもしれない。技術の普及に期待はするが、その前にも必要なことがある。一人一人が交通法規とマナーを守ることだ。危険と隣り合わせの状況は今も50年前と変わらない。あすから春の全国交通安全運動が始まる。いま一度運転する自分の手が、足が、凶器になるかもしれないことを自覚したい。