▼「パナマ文書」なるものが今、各国首脳の信頼を揺さぶっているという。タックスヘイブン(租税回避地)を利用して、資産隠しや不正蓄財をしていた疑いが持たれているのである。中米パナマを拠点とする法律事務所の内部資料が外部に流出し、各国首脳とその関係者の取り引き内容が白日の下にさらされたというのだから、映画や小説のような話。この物語にもやはり、金の亡者が登場するのだろうか。
▼文書の提供を受けた「国際調査報道ジャーナリスト連合」が分析した上で発表したそうだ。これまでに名前が出たのは習近平中国国家主席、プーチンロシア大統領、キャメロン英国首相ら。まだ腐敗行為があったかどうかは定かでない。ただ事実なら、国際社会では大きな発言力を持ち、国内では冷徹に経済を引き締めているのに、自分の懐だけはぬくぬくとさせていたのか、と批判が高まるのも当然だろう。こうなると不謹慎とは思いながらも「パナマ物語」の先の展開が気になる。
▼今のところ文書が日本に波及する様子はないが、こちらはこちらで別の疑惑が持ち上がっていて騒々しい。山尾志桜里民進党政調会長が代表を務める政党支部で、不自然なガソリン代支出があったというのである。相も変わらぬ政治と金の問題だ。甘利明元経済再生相の公設秘書による収賄騒動や日歯連迂回(うかい)献金事件があったのもついこの間のこと。与党野党を問わず政治家の周りには、「ヘイブン」(避難所)ならぬ、金を生む「ヘブン」(天国)がたくさんあるらしい。