▼マーケティング調査の1手法、ブラインドテストをご存じだろうか。被験者に、飲食料品の商品名を伏せ、または目隠しをした状態で提供し、どちらが好きか選んでもらうものである。客観情報が得られるため現状を分析するのに重宝する。有名なのは「ペプシチャレンジ」だろう。街頭で通行人にコカ・コーラと飲み比べをしてもらい、どちらが好みか聴いたものだ。テレビCMを覚えている人もいよう。
▼何もブラインドテストをしようと考えたわけでもあるまいが、自民党は環太平洋経済連携協定(TPP)承認案などを審議する衆院特別委員会の理事懇談会に、ほぼ黒塗りの政府交渉資料を提出したという。交渉経過は伏せたまま、さあこのTPP、酸いのか甘いのか、という訳である。民進党は猛反発し、審議拒否に踏み切った。その後両党は話し合い、今月20日に党首討論を実施することで合意し、きょうから特別委を再開することにしたようだ。しっかりと議論してもらいたい。
▼ところが今度は、政府・与党の中から、TPP承認案と関連法案の今国会での成立を先送りする声が出てきた。野党ともめ、採決を強行することにでもなれば、夏の参院選で不利になると判断してのことらしい。交渉経過を全て明らかにするのが外交上難しいのは分かる。ただ、国会審議を先送りにするのは、TPPで農業に多大な影響が出る本道にとって、いささか肩透かしを食わされる気分だ。24日には衆院道5区補選もある。調査ならまだしも、政治で目隠しなど御免被りたい。