五月病

2016年05月11日 09時07分

 ▼日常を抜け出し、普段できないことをたっぷり楽しんだ人もいよう。ことしの黄金週間は2日休めば10連休というところも少なくなかったようだ。一転、連休明けから6月にかけて平日に祝日はない。どうにか1日くらい黒い数字が赤に変わらないかと、恨みがましい目でカレンダーを見詰めている人もいそうである。ただの連休ボケならいいが、新入社員や新入生が息切れを感じているとしたら要注意だ。

 ▼いわゆる五月病が始まる時期である。適応障害の一種とされるが、昔からあったらしい。卒業して世の中が怖くなってしまった知り合いに宛てた夏目漱石の書簡が残っている。1906(明治39)年7月のものだ。この中で「もつと大胆になれ」「千万人といへどもわれ行かんといふ気性を養へ」と勧め、「天下は君の考ふる如く恐るべきものにあらず、存外太平なるものなり」と説いている。神経質だった漱石の言葉と思えないが、自分に言い聞かせていたことだったかもしれない。

 ▼症状が深刻なら受診した方がいい。それほどでなければ漱石の助言も聴くべき価値はありそうだ。絵本作家の五味太郎さんが『さらに・大人問題』(講談社)でユーモアに満ちた指摘をしていた。「おもしろくないのに学校に行っている子」は「まずいラーメンなのに食べている子」と同じだというのである。五月病になった本人はひとまず置き、職場や学校の側に「まずいラーメン」を無理やり食べさせる体質はなかったか。本人でなくそちらの側が病んでいる例も実は少なくない。


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