▼6月に入って早々、本道上空に真冬並みの寒気が流れ込み、十勝岳温泉など標高の高い所では季節外れの雪に見舞われたそうだ。平地では身を切るような冷たい風が吹き荒れ、雨が降った地域も多かった。この5月は1946年の統計開始以来、最も気温が高かったというのに続く6月はこの天気。いいように翻弄(ほんろう)されている。しまいかけていた冬物を再び引っ張り出した人も多いのでないか。
▼札幌管区気象台の1カ月予報によると、今週からようやく穏やかで暖かい天気が続きそうだという。6月といえば衣替え。本州では5月からクールビズも始まっているようだが、本道では冬物の心配がなくなるこの時期がしっくりくる。「子の背伸び出してはしまう更衣」(内田春菊)。世のお母さんたちにとっては、子どもたちからの夏物予算要求に戦々恐々とする時期でもあるということだろう。それはそれとして、薄い夏物に着替えると気持ちまで軽くなるから不思議なものだ。
▼こちらもすっかり風物詩になったようだ。いわゆる「就活スーツ」への衣替えである。街で見掛け、そんな時期かと気付いた人も多いのでないか。来春卒業予定の学生に対する企業の採用面接が1日、解禁された。似たようなスーツばかりで個性がないとの批判も聞かれるが、学生としては衣を替えることで気持ちを切り替えているのだろう。それで気合が入るのなら悪くはない。何にせよいい出会いを見つけたいもの。企業を次代に合った衣に替えてくれるのは当の若者たちなのだ。