現代の奴隷

2016年06月11日 09時00分

 ▼米国の作家でジャーナリストのアレックス・ヘイリーは、自らの先祖がアフリカから無理やり連れてこられた歴史を小説『ルーツ』として発表している。これを原作にしたテレビドラマが1977年に日本でも放映されているから、そちらを覚えている人もいよう。アフリカで奴隷商人にさらわれ、船で米国に運ばれたクンタは港で競りにかけられる。「取り立てのホヤホヤだよ!」「ラバみたいに働くぜ」

 ▼当時の貨幣価値は分からないが、850ドルで農場主に売られたようだ。クンタはその時まだ17歳。1750年代のことである。奴隷として家畜以下の扱いを受ける描写には読んでいて怒りが込み上げたが、もう昔の話。そう思っていたのだが実は勘違いだったらしい。奴隷撲滅を目指すNGOが最近出した報告によると、「現代の奴隷」状態にある人は世界に4500万人以上いるそうだ。しかも増加傾向にある。167カ国中、最も多かったのはインドの1835万人だったそう。

 ▼意外なことに日本も29万人で25位と上位にいる。昔のように鎖につながれている訳でなく、金銭や暴力、脅迫など、周りからは見えにくいもので自由を奪われているのが「現代の奴隷」の特徴なんだとか。きのう故郷で葬儀が営まれたプロボクシング元世界ヘビー級王者モハメド・アリさんは、カシアス・クレイから名前を変えたとき「あれは奴隷の名前。私はもう奴隷ではない」と言ったそうだ。いまだ世界中にこれだけ奴隷状態の人がいるのでは、アリさんも安らかには眠れまい。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • 東宏
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,365)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,256)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,208)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,124)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (799)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。