雨乞い

2016年06月16日 09時13分

 ▼夏のこの時期の季語に「雨乞」があるのをご存じだろうか。干ばつを恐れる農民らが神仏に祈願して雨を降らせる儀式だが、今は伝統芸能や物語の中で、ひっそりと生き永らえているくらいだろう。「月明し雨乞踊見に行かん」(正岡子規)。子規が育った四国愛媛も渇水に悩まされてきた地域だから、伝統が生きていたようだ。「雨乞の太鼓よわりし夕日かな」(蝶夢)。昔は降るまで連日続けたらしい。

 ▼関東地方の農業関係者は、できれば雨乞いでもしたいような心境に違いない。雨不足が続いているため、渇水の恐れが出ているのだという。梅雨時期なのに、降っているのは露程度ということか。同地方1都5県に水を供給している利根川上流の8ダム合計貯水率は14日現在、37%と平年の半分以下にとどまっているそうだ。中でも主要な矢木沢ダムにはたったの9%しかない。国土交通省などはきょうから、利根川の10%取水制限を開始するとのこと。かなり深刻な事態なのだろう。

 ▼日本気象協会によると今後も一時的に雨は降るものの、ダム周辺でまとまった雨量は期待できないそう。農業用水の効率的利用はもちろん、自治体によっては「水は流し放しにしない」「風呂の残り湯は洗濯に使用」など、一般家庭に節水を呼び掛けるところも出始めた。1994年渇水では全国で1600万人が影響を受け、1400億円の農作物被害も出ている。今回も渇水に万全の備えをしておくに越したことはない。後は天まかせ。取りあえず、てるてる坊主を逆さにでも…。


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