夏至

2016年06月21日 09時08分

 ▼昼の長いこの時期になると、子どものころ暗くなるまで外で遊んでいて、親に叱られたことを思い出す。同じ経験を持つ人も結構多いのでないか。日の長さにだまされ、気付くともう晩ご飯の時間なのである。島崎藤村もこの時期がお気に入りだったようだ。随想「短夜の頃」に記している。「まだ私達が眠りから醒めないで、半分夢を見ている間に、そこいらはもう明るくなっていると考えるのも楽しい」

 ▼きょうは一年で最も昼の時間が長い夏至である。いつまでも明るいというだけで、少し得した気分になるから不思議なものだ。そんなちょっとした心のぜいたくを詠んだものだろう。こんな句に目が留まった。「明易やまだ使はずの今日がある」(佐藤節子)。季語「明易し」は夜明けが早いことをいう。早朝に起き出してみると、子どもが真新しいお絵描き帳をもらったときのような幸せと希望が心に満ちてきたに違いない。これも夏の朝ならでは。冬だとまず布団から出たくない。

 ▼札幌管区気象台によると本道の天気はしばらく不安定らしい。いわゆる「えぞ梅雨」なのだろう。こう雨続きのどんより暗い日ばかりでは毎日がたそがれ時のようなもの。せっかく長い昼を堪能できる夏至の風情もいま少しお預けである。それでも農作物にとっては恵みの雨。嫌がってばかりいられない。先日、深川で国道から見た水田の稲も雨の中、青々と輝いていた。「いま充電中梅雨の家に聞くショパン」(黒澤さち)。夏本番がそこまで来ていると思えば雨だれもまた良しか。


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