▼漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)で長年人気を博している「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(作・秋本治)がこの6月で誕生40年を迎えたという。ご存じ同派出所の両津勘吉巡査、通称「両さん」が破天荒な行動で次々騒動を巻き起こすドタバタ劇である。連載開始当時小学生だった読者が今、50歳前後になっているのだからその息の長さには驚くばかり。何を隠そう当方もファンの一人である。
▼時に世相を風刺したり、深いうんちくを傾けるのも魅力の一つ。1986年の作品には両さんが参議院選挙に立候補する「道楽党起つ」(コミックス51巻)の話があった。円高なのに外国製のおもちゃが安くならないことに両さんは「政治が悪い!」と怒り出す。義憤に駆られたまでは良かったが、有権者にいい顔をしようとすぐ悪乗りする。出した公約は「週休四日! 一日の労働時間三時間! バカンス二か月!」。さらに若者や主婦の支持も得ようとどんどん大風呂敷を広げる。
▼さて現実の各党の公約はどうなっているだろう。7月10日投開票の第24回参院選はきょうが公示日である。アベノミクスや消費増税延期への評価、憲法改正の是非といった辺りが争点の中心になろう。国政選挙で初めてとなる10代の若者たちの投票行動も気になるところ。安倍政権打倒を旗印にした野党共闘に対する有権者の反応も一つの見どころか。ただ選挙となると決まって増えてくるのが候補者たちの美辞麗句と大言壮語。両さんじゃないんだから、と一言申し上げておきたい。