年配の方はよく覚えておいでだろう。時事問題を織り込みながらウクレレをかき鳴らして笑いを取った漫談家牧伸二さんの決まり文句は「ああやんなっちゃった ああ驚いた」だった
▼国民の心境も今、それに近いのでないか。財務省の決裁文書書き換え問題の熱も冷めやらぬうち、今度は陸上自衛隊のイラク派遣日報隠蔽(いんぺい)疑惑が出てきたという。政府はおたおた、野党は息巻きで国会の開店休業が続く。今回焦点になっている日報は、昨年2月に当時の稲田朋美防衛相から探すよう指示され、調査の結果、存在しないと陸上幕僚監部が正式に報告していたものである。ところが翌月には既に見つけていたのに、ことし3月までだんまりを決め込んでいたらしい
▼安易に忖度(そんたく)だ何だと言うつもりはないが、防衛行政の根幹を担う組織として実にお粗末というほかない。立憲民主党など野党6党は官僚の隠蔽体質を一斉に批判。政府の対応次第では国会審議も拒否し徹底抗戦する構えという。真相解明は当然だが、それにしてもである。この1年、国会が正常に機能し、本当に大切な問題が話し合われたことがあったのだろうか。国会議員は国民を代表して国のために働く人とばかり思っていたが
▼牧さんの歌はもう聴けないため、せんえつながら当方が勝手に新ネタを作らせてもらった。ウクレレを想像して口ずさんでいただければ幸いである。「政府は問題見ないふり 野党は逆転の倒閣夢見 官僚はいつも身内を見 国民はまたも馬鹿を見る ああやんなっちゃった ああ驚いた」。