▼治安や政情に不安を抱えたまま開幕したリオ五輪だが、競技が始まればそんなことは忘れ日本選手の活躍に胸を熱くする毎日である。スポーツの祭典に松本可奈子さんの詩「なみだ」を思い出す。「わたしがなくとき/心の中でおまつりがあります/たいこがたくさんあって/そのたいこを/神様がおもいっきりたたくのです」。神様ならぬ選手がたたく挑戦の太鼓に、われわれの涙腺も緩みっ放しである。
▼こだわらないと言いながら気になってしまうのがメダルの獲得数だろう。それが9日までに金3個、銅7個である。絶好の滑り出しといっていい。内村航平選手率いる体操男子団体は3大会ぶり、柔道は大野将平選手が2大会ぶりに日本に金をもたらした。快挙である。金と銅二つのメダルを同時に獲得した競泳男子400m個人メドレーも圧巻だった。日本時間で夜から早朝にかけて競技が行われるため、寝不足もいとわずテレビの前で声をからしている人も少なくないのでないか。
▼ウェイトリフティング女子で銅の三宅宏実選手が競技後、バーベルに頬ずりした姿にも胸を打たれた。さぞ苦しい道のりだったのだろう。五輪に限らず最近はスポーツの話題に事欠かない。米大リーグのイチロー選手はついに3000本安打を達成した。道産子としてはプロ野球日本ハムファイターズとサッカーJ2コンサドーレ札幌が快進撃を続けているのもうれしい。高校野球の本道代表は12日が初戦。さて立秋も過ぎた。どうやらことしは実り豊かなスポーツの秋になりそうだ。