少し長いがまずこの報告を読んでいただきたい。「汚職、醜聞、派閥争い、裏とりひき、選良にあるまじき下種な言動―いつまでもくりかえされるこれらの醜態が、国民に、国会議員に対するひどい幻滅と、政治に対するひどいいや気を抱かせてしまった」
▼SF作家小松左京の短編「公明選挙」の一節である。このため大部分の国民は投票に行かず、開票してみると候補者が自ら入れた票以外全て無効という結果に。驚くなかれこの作品、1967年というから約50年前の発表である。現在の日本の政治状況と思った人も多いのでないか。無理もない。国の浮沈が懸かる重要課題が国内外でめじろ押しというのに国会は今、主にセクハラ問題で延々と停滞が続く。国政を預かる政治家たちの進歩のなさにはあきれるばかりである
▼安倍政権の閣僚の脇の甘さも決して褒められたものではないが、維新を除く野党6党の国会欠席戦術も意味が分からない。国会議員が国会に信を置かずにどうして法治国家が保てよう。おとといは自民の森山裕国対委員長が野党の内閣不信任案提出を前提に解散総選挙をにおわすと、立憲民主の辻元清美国対委員長が「脅しか」と応酬。やれやれプロレスの場外乱闘じゃないんだから。いっそのことリングでも用意しようか
▼安倍首相はきのう、解散を明確に否定したが混迷が深まるならそれも遠い話ではあるまい。小松氏は先の短編で、既存の政治家をお払い箱にし信頼できる仲間たちで新たな政治をつくる世界を描いて見せた。さて現実世界の国民はどんな選択をするだろうか。