▼何かと難しい問題のある高齢化社会だが、こんな川柳を聞くと身につまされながら思わずニヤリとする人がいるに違いない。いずれも『平成川柳傑作選』(毎日新聞出版)で読んだ作品である。「片思い昔あの娘で今は孫」(孫孫)。納得であろう。「じいちゃんが一番好きにだまされる」(ゆきはる)。かわいいから許せる。ただしこれはつらい。「電話するたび『な~んだぁ爺ちゃんか』」(上田寛)。
▼子や孫とのつきあいが大きな生きがいになるのは、どうやら世界共通らしい。内閣府が今月公表した2015年度「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」にもそれが表れていた。日本と米国、ドイツ、スウェーデンの4カ国を比較しているのだが、「生きがいを感じる時」との設問に対する答えは、いずれの国も「子どもや孫など家族との団らんの時」が最も多かったのである。息子・娘たちとの交流や孫の成長する姿に、元気や幸せをもらっている人が多いということだろう。
▼少しばかり気になる結果もある。「同居の家族以外に頼れる人」の設問に、米国とドイツの45%、スウェーデンの43%が「友人」と答えているのに、日本はその半分以下の19%だったのだ。はて、日本人は友人が少ないのか、それとも友人を頼ろうとはしていないのか。身内以外に迷惑は掛けられないとの国民性が出たのかも。そういえば家族に比べ、友人を題材にした川柳も少ないようだ。友人をネタにした川柳がどんどん出てくる方が、高齢化社会として生きやすいのかもしれぬ。