▼先月、本道は手痛い集中攻撃を受けた。ほかでもない台風の話である。1カ月に上陸と通過・接近合わせて6回にも上ったのは過去に例がないという。「泣き面」に、ハチが何匹も続けざまに襲ってきたようなものだ。休むことなく繰り返される攻撃に、各地とも防戦一方で傷は癒える間もない。「台風の通りし後はゴジラ道」(田崎茂子)。8月の最後に接近した10号も、まさにそんな被害をもたらした。
▼豪雨で空知川や札内川の堤防が決壊。他にも多くの河川が氾濫し街は濁流に飲み込まれた。道路は冠水や崩壊による通行止めが相次ぎ、道南では強風が吹き荒れ屋根が飛ぶ被害まであったそうだ。JRや航空便にも大きな影響が出た。きょう1日は「防災の日」。この前後に台風災害が多いとされる厄日の「二百十日」でもある。そんな厄日の約束など、果たされなくても一向に構わないのだが…。自然のなすこととはいえ、ここまでくると天を見上げて恨み言の一つも言いたくなる。
▼開発局や道などは一連の被害をまとめていたが、この10号でそれはさらに膨らむ。高橋はるみ知事は近く、国に激甚災害の指定を要望するようだ。決まれば復旧にも弾みがつこう。今災害では生活の基盤を失った人も多い。磯田道史国際日本文化研究センター准教授は『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)に、「失うつらさのなかから未来の光を生みださねば」と書いていた。この前例のない台風集中を教訓に、より安全な地域づくりを進めていくのがわれわれの責務である。