パソコンの直販システムで知られる米国の総合IT企業「デル」はかつて、こんな一文を添えた広告を出していたそうだ
▼「あら探しの好きな方、わがままな方、やっかいな質問をする方に申し上げます。ありがとうございます。これからもそのままで、よろしくご愛顧のほど」。創業者でもあるCEOマイケル・デル氏の発案によるものだったという。顧客の声に常時耳を傾け、改善していく姿勢を示したのだとか。「良薬口に苦し」の例えもある。大きな目標を達成するために、喜んで苦い薬を飲む覚悟を持つのは勇気ある態度だろう
▼せっかく対話の機運が高まっているのである。北朝鮮も日本を批判するばかりでなく、自ら良薬を口にする度量を見せるべきではないか。というのも北朝鮮メディアが最近米国や韓国への攻撃は抑える一方、日本に対してはひねくれて孤立していると激しい批判を繰り広げているからである。『ニューズウィーク』Web版がジャーナリスト高英起氏の報告として伝えていた。日本が拉致含め人権問題で一歩も引かないことや、諸外国に圧力を緩めないよう働き掛けていることがよほどお気に召さないとみえる。つまりそこが最も痛い部分なのだろう。北朝鮮にとっては国際社会が面倒な人権問題など忘れ、融和ムードに乗って制裁を解除してくれれば万々歳なわけだ
▼ただ、この好機をごまかしで無駄にすべきではない。拉致問題解決や核・ミサイル放棄。うるさく言う日本は厄介ではあろうが、その声に誠実に応えることで北朝鮮の未来は格段に明るさを増すのである。