一年のうちで春は秋と並んで結婚式の多い季節だという。暑過ぎたり寒過ぎたりする夏や冬は、出席者に服装など余分な気を遣わせるため敬遠されるらしい。もっとも結婚する幸せな二人にとって挙式の日はどの季節でも春気分なのだろうが
▼詩人新川和江さんの作品「結婚」にこんな一節があった。「ひとりではわからなかったことが ふたりではわけなく解ける この不思議さ たとえば花が咲く意味について」。人生の酸いも甘いもかみ分けたベテラン夫婦が聞けばため息の一つも出そうな言葉だが、それはそれ。最初くらいは楽しい夢を見たとしても罰は当たるまい
▼さて、こちらは結婚して「ひとりではわからなかったことが ふたりではわけなく解ける」ようになるのかどうか。民進党と希望の党が合流してつくった新たな党「国民民主党」も春の良き日のきのう、設立大会を開いた。基本理念に「自由、共生、未来への責任」を掲げ、政権交代実現のため国民の選択肢の核となる政党を目指すそうだ。大塚耕平、玉木雄一郎両氏が共同代表に就き花を咲かせる意欲満々。ただ、滑り出しから栄養は足りていないようだ。結党前の民進、希望所属国会議員107人のうち新党に参加したのは62人。元首相ら大物議員らも参加を見送った
▼結婚に関してはこんな言葉もある。「結婚は雪げしきのようなものである。はじめはきれいだがやがて雪どけがしてぬかるみができる」(『夫婦喧嘩』山本有三)。最近の野党を見ていると、花を咲かせるよりぬかるみに陥る方が多いようだ。国民民主党はどうか。