受信料の乱

2016年09月10日 09時40分

 ▼1637年に起こった島原・天草の乱は、キリシタン迫害に反旗を翻したものとして知られるが、根底には理不尽な重税に苦しむ農民の怒りがあったという。築城のため湯水のように出費し続けた藩主が、その埋め合わせで生活のあらゆる面に税を課していたのである。子を産めば「頭銭」、死者が出れば「穴銭」を取るなどはまだいい方で、棚を作れば「棚銭」、窓を付ければ「窓銭」を徴収したらしい。

 ▼とにかく名目を付けて徹底的に搾り取ろうとの魂胆だろう。これでは農民が生きていくことさえかなわない。一揆を起こされても当然ではないか。それを思い出したのは、さいたま地裁のワンセグ受信料訴訟でNHKが敗訴したとの報に触れたからである。NHKはテレビ視聴機能が付いた携帯やスマホの所有は受信設備の設置と同じとして、受信料の支払いを求めていた。さいたま地裁は先日、これに対し携帯などは設置に当たらないと、NHKの主張を退ける判断をしたのである。

 ▼NHKの存在意義や受信料自体に異議を差し挟むつもりはない。ただ取れるところからは取ろうという姿勢は、おごりと思われても仕方ないのでないか。受信料は義務である以上、税金と似た性格を持つ。ワンセグからも徴収するとの大きな規約変更であれば、消費税率を上げるときと同様に、あまねく丁寧な説明が国民に対し必要だったろう。そもそも携帯の販売店で、NHK受信料が発生すると聞いた覚えもない。今どき「下に~下に~」では、NHK藩も時代に取り残されよう。


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