▼きのうは本道のほぼ全域で青空を見ることができたようだ。久しぶりに穏やかな気持ちで一日を過ごせたという人も多いのでないか。「祝辞まづ祝ぎて台風一過かな」(松永恵子)。「台風一過」といえば悪天から解放され、晴れ晴れとした気分になることを表す言葉だが、ことしほどそれがしっくりこない年もない。一つ過ぎたと思ったらすぐに次、地面の乾かぬ間にまた次のがやってくるといった具合。
▼日本気象協会のHPで見たのだが、道内で2週間連続して出ていた警報が11日にやっと途切れたという。同日夕解除された羅臼町の大雨警報が最後だったそうだ。毎日どこかで警報が鳴り響くマンションに住んでいたようなもの。ただしこちらは自然が相手だから文句のつけようがない。8月12日からの1カ月間でも、警報の出ない日はたった4日だけだったという。この一連の台風の前に、被害は「56水害」を上回るのではとの予想を聞いたが、現実はその予想さえ超えてしまった。
▼8月に、本道へ上陸または接近した台風をあらためて時系列で並べてみると、9日5号、15日6号、17日7号、21日11号、22日9号、30日10号となる。近づくにつれ影響が出始め、過ぎた後も余波が残ることを考えれば、8月は丸々台風の腹の中にいたようなものだろう。川は決壊して泥が街や田畑をのみ、道路や鉄路は寸断された。亡くなった人もいる。今回は想定外だったが、次からは台風一過くらいで安心してもいられないということか。それにしても六過でようやく一息とは。