児童公園で定番の遊具といえば砂場、鉄棒、滑り台といろいろあるがぶらんこもその一つだろう。行きつ戻りつしながらスピード感や浮遊感を味わえる。少々危なげなところも子どもにとっては魅力なのに違いない。身の丈サイズの小さなジェットコースターのようなものか
▼「ぶらんこを漕いでは宙に擦れ違ふ」吉村絹子。「ぶらんこ」は春の季語である。友達幾人かと並んで思い思いにこぐのもまた楽しいものだ。こちらは決して愉快とは言えないものの、最近の北朝鮮をめぐる情勢を見ていて不規則に揺れるぶらんこが思い浮かんだ次第。北朝鮮の大胆な揺さぶりに負けぬよう、周辺・関係国も今は調子を合わせて精いっぱいこぐしかない
▼それにしても金正恩朝鮮労働党委員長の変節には誰もが意表を突かれたろう。それまで地面から離れずこわごわぶらんこを揺らしていた子どもが、危険を楽しむかのごとく満面の笑みを浮かべ勢いよく立ちこぎを始めたかのよう。急に皆で仲良く遊ぼうとの態度である。早速隣のぶらんこに座って見せたのは中国の習近平国家主席だった。今週含めこの短期間に2度も会談している。韓国の文在寅大統領も4月27日に板門店で金氏と共にぶらんこを楽しんだ
▼きのうは東京に日中韓の首脳が集まり、北朝鮮の非核化のため連携を強めることで一致。米国は米朝首脳会談の調整のため、ポンペイオ国務長官を再度北朝鮮に派遣した。さてプレーヤーはそろったがこのぶらんこ、最後は同調して揺らせるか、擦れ違うか。まさか、がき大将が引っくり返すなんてことは…。