「あまロス」なる言葉が、一時期はやったのをご存じだろうか。アイドルを目指す女性の成長と東北復興を描いて大人気を博したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)が終了し、寂しさで心にぽっかり穴が開いた気持ちに陥る人が続出したため生まれた造語である
▼ロスは「失う」の意味だ。その伝でいくと今、ほとんどの道民は「ハムロス」だろう。先の日曜以降、6時過ぎになると妙に物足りない。熱狂と興奮を味わわせてくれたSMBC日本シリーズ2016が終わってしまったからである。あれだけ面白い試合を連日見せられたら、それがもう見られないと気付いたときの反動も大きい。ただ、その心の空白を埋めてなお余りある喜びが胸を占める。何せ北海道日本ハムファイターズの優勝、日本一である
▼選手たちのプレー、監督の采配、チームの結束力と不屈の精神。何もかも素晴らしかった。もちろん好ゲームは好敵手あってこそ。広島東洋カープもまた熱い魂を持ったチームだった。それにしてもこの日ハムの強さはどうだ。チームとして若く、開幕前の評価もそう高くはなかったはず。ところが困難を乗り越え日本一になってみれば、誰もが同じ感想を抱いたろう。「これぞ日ハム」
▼ペンシルベニア大心理学教授アンジェラ・ダックワースの『やり抜く力』(ダイヤモンド社)に、「偉大な選手になるには、偉大なチームに入るしかない」と書いてあった。日ハムにも選手を偉大にする文化があるに違いない。来季も期待できる。そしてまたうれしい「ハムロス」に。