道開発局が砂利採取可能な区間を拡大 河川状況の変化受け

2018年05月29日 15時00分

 北海道砂利工業組合が要望活動を続けてきた河川砂利の採取規制緩和に進展があった。北海道開発局はこのほど、2016年度から18年度までを対象とする第15次砂利採取規制計画を見直し、採取可能な区間を従来の2水系2河川から6水系14河川1ダムに広げた。地域の河川管理者や漁業者との協議は必要だが、原石枯渇に悩む砂利業界にとって、課題解決への大きな一歩となった。

 今回砂利採取可能な区間として示されたのは、石狩川水系が石狩川(上・下流)と雨竜川の2河川、十勝川水系が十勝川と音更川、利別川、札内川、猿別川、士幌川、浦幌川、浦幌十勝川の8河川。このほか、常呂川水系の常呂川、湧別川水系の湧別川、渚滑川水系の渚滑川、天塩川水系の天塩川上流の計4河川と、漁川ダムが対象となった。

 砂利採取規制計画は、河川管理に支障が生じたり、河川環境が損なわれないよう、砂利などの採取を規制するのが目的。道内では、1980年ころから河床低下が顕在化し、サケの産卵床など環境影響への懸念などから策定。現在の第15次計画では、雨竜川と湧別川のみ採取を認めていた。

16年8月の大雨被害後、河川砂利採取に対する考え方が変化している

 16年8月の豪雨や洪水によって河道に大量の土砂が堆積するなど、各河川の状況が大きく変化。こうした中、国土交通省は17年7月に河川砂利採取の規制緩和を広げると発表。生態系や景観などへの影響が生じない範囲で、民間事業者などに砂利採取を許可し、掘削コストの縮減に努めると示した。

 規制緩和により、18年度の採取可能量は当初計画の8万m³から530万m³に拡大。うち約8割が十勝川水系となっている。

 ただ、流下能力に影響する上・下流のバランスや、環境保全など考慮すべき点は多い。このため、河川事務所や漁業者など関係者との事前調整が地域ごとに不可欠となる。

 24日に開かれた道砂利工業組の通常総会で小沢由明理事長は「17年度は河川砂利採取の節目の年として、原石確保のための要望活動に重点的に取り組んだ。規制計画が見直されたことは喜ばしい。今後も対象河川の拡大に向けて粘り強く活動したい」と話していた。


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