早いものであすからもう6月である。そう考えただけで自然と心が浮き立ってくる人も少なくないのではないか。暑過ぎず寒過ぎず、梅雨とも無縁の爽やかな気候に楽しいイベントめじろ押し、おいしい農水産品の恵みも豊富な6月は快適さにおいて北海道でも屈指の時期だろう
▼いっそ独り占めにしたいくらいだが、それもまた偏狭な話。ここは落語「饅頭怖い」と同じ逆説の手法で、本道の魅力を紹介してみたい。まず1日に漁が解禁される道南のスルメイカだが食べない方がいい。透明で甘くパリパリの食感を一度経験すると普通のイカでは満足できなくなる。解放感が心地良いからといって屋外でビールを飲みながらジンギスカンをするのもご法度だ。家に帰りたくなくなってしまう
▼峠の雪も消え全道を車で回れるようになったが、スイーツ巡りだけは思いとどまるべき。各地に新鮮な牛乳で作った絶品のスイーツが数多くある。次から次へと食べたくなるはず。体重計に乗ってから後悔するのでは遅い。6日に開幕する「YOSAKOIソーラン祭り」は避けて通るのが無難だろう。踊り手の躍動感とソーラン節に胸を揺さぶられる。どれほど時間を奪われるか。山開きする十勝や大雪の山々を訪れたり、緑もえる釧路湿原をカヌーで下ったりするのも厳につつしみたい。まかり間違えば生き方を問い直す体験になってしまわないとも限らぬ
▼それでもいいなら6月の北海道はお薦めである。世界中からぜひおいでいただきたい。ただし二度と頭から離れなくなるから、それなりの覚悟はお忘れなく。