札幌市雪対策室は、除雪の技能伝承や担い手育成を目的に、ことしから手稲区の車両管理事務所で夏季の除雪機械取り扱い講習を始めた。6月末までの8日間、市職員のベテランが機種別に操作を実技指導する。参加した運転手からは「初めて乗る機械の操作を本番前に基礎から学べる」と好評だ。
雪対策室は毎年、札幌市除雪事業協会と共同で冬季に実作業を想定した実技研修を開き、技能向上を図っている。協会からは高齢化を背景に研修機会を増やすよう要望があり「勘を取り戻してもらいながら共通の基本知識、操作を身に付けてもらいたい」(近藤昭男車両管理事務所長)と夏場の講習を企画した。
6月の毎週火曜、木曜日に、日替わりで除雪グレーダー、タイヤショベル、小型ロータリー車、1人乗りグレーダーの機種別講習を開催。21日には市内各地区の除雪を担当する共同企業体のベテランオペレーターを集め、技能伝承や担い手指導をテーマにした講座を開く。
7日は、小型ロータリー車の講習を操作未経験者を含む30―50(歳)代の16人が受講。講師は市直営時代に除雪機械運転経験を持つベテランの小沢隆さんが務めた。実技は「視界が限られるロータリーの車両感覚を身に付ける」(小沢さん)ため、幅1・7mの関門を4つを幅1・3mの車両で蛇行しながらくぐり抜けバックで戻る特設コースで訓練した。
経験者は、ぎりぎりの関門を巧みに抜け自らの技能を再確認。初めて乗る丸高北進建設の山本敬倫さん(35)は「視界が狭く、いきなり実戦は難しい。参加して良かった」と、慎重操作で関門をクリアしていた。