お仕着せ

2018年06月13日 07時00分

 江戸時代に幕府や店の主人から下の者へ下された衣服を「お仕着せ」と呼んだ。もともと悪い意味ではなかったものの、長く使われているうち、実態を無視して一律にやらされることへの不満を表す言葉に転じたらしい

 ▼「あんなお仕着せの方法論がどの現場でも通用すると思ったら大間違いだ」は現場で最前線に立つ人からよく出る愚痴。上から与えられたものであるため使わないわけにはいかないから始末が悪い。国の制度でもしばしばこの「お仕着せ」による不具合が起こる。道路構造令は典型だろう。今でこそ主に運用面で改善が進んでいるものの、以前は画一的規定が地域の実情に合わず、整備を遅らせ経費を増大させる原因となっていた

 ▼最近では本紙でも取り上げることが増えた週休2日制もそうでないか。先進国の中でも労働時間が長く余暇が少ない日本の現状を変えるための政策である。その趣旨やよし。なのだが、地域や産業により多種多様な働き方があるため一律に適用するのは簡単でない。特に建設分野は現場環境、天気、工期、単価など多くの制約要因があるのに導入は一律。公共でモデル工事も試行しているとはいえ、現実には工夫で何とかなるほど楽なものではなさそうだ。本道では冬場の稼働率が低いこともあり、週休2日だと手取りは確実に減る

 ▼とはいえ休みも少ない業界では若者にそっぽを向かれよう。それでは未来がない。「前門の虎後門の狼」だがいずれにせよ「お仕着せ」は今の体に合っていない。工期も単価も窮屈過ぎる。現実を反映する柔軟な仕組みがほしい。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 東宏
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,380)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,253)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,235)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,108)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (886)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。